多自然型護岸工は出来ればお目にかかりたくない歩掛です。
何といっても見積もり単価使用しているので、正確な単価を導き出すことは極めて難しいといえます。
DogMarkSystemとしても出来れば書きたくないのですが、あえて出来ないことは出来ませんと記載します。
まあ高価な積算システムと言えども各都道府県の各地域の見積もり単価まで把握していることはありえないので条件は同じです。
やはり出来ないことは正直に明記すべきと考えます。
ちなみに土木工事積算基準マニュアルにも見積り等により別途計上と書いてあり、金額を抜いています。つまり、発注者が認めた金額が正しい金額であり、発注者以外は誰も知らない金額といえます。
ですが、明確なことと不明なことに分けられるます。実際の積算業務においては不明なこととして材料代などを問い合わせることになりますが、何が不明なのかを明らかにしておきたいと思います。
では歩掛を確認してみましょう。
労務の歩掛と、機械運転単価です。
いきなり掴み装置なるものが出てきました。掴み装置は「巨石張工」「巨石積工」では直接使用しません。
使用するのはその後に出てくる巨石採取工です。現場で適当な石を拾ってくださいという歩掛です。巨石を購入しない代わりに現場で採取する場合に使用します。とりあえずここでは使用しません。
また諸雑費が非常に判りにくい。
上下2段になっているうえ括弧書きまでついています。これは注意書きによれば次のように定められています。
上段:水抜きパイプを設置した場合(吸出し防止材または遮水・止水シートを施工する場合)
下段:水抜きパイプを設置しない場合(吸出し防止材または遮水・止水シートを施工する場合)
さらに、裏込材、胴込・裏込コンクリート、吸出し防止材または遮水・止水シートを施工する場合は必要量を計算するようになっています。
まず石材の基本数量ですが次の式で求めるとなっています。
しかし判りにくい式ですね。「3の1/2乗」なんて書かないで、「ルート3」と書いて欲しいです。一瞬びっくりしたじゃないですか。いわゆる「1.7320508(ひとなみにおごれや)」というやつです。
つづいて裏込め、胴込めの基本数量は次のようになっています。
さてここからがめんどくさくなってきます。
残念ながら現時点(2010年8月26日時点)で複雑数量計算を用意していません。単なる作成し忘れですね。そのうち作成します。
まず施工条件の確認が必要です。
土木工事積算基準マニュアルの例をもとに解説します。
解説における積算例では、積算条件が次のように記載されています。
・施工面積1,000m2
・巨石直径(D)=0.9m
・裏込材厚さ=0.5m
ですがこの条件には抜けがあります。計算式を確認してみると、
・裏込コンクリート量=10m2×0.3m=3.0m3
となっていますが、0.3mとは
・裏込コンクリート厚さ=0.3m
が抜けています。
まとめると施工条件は次のようになります。
・施工面積1,000m2
・巨石直径(D)=0.9m
・裏込材厚さ=0.5m
・裏込コンクリート厚さ=0.3m
ではこの施工条件を基に石材の基本数量を算出してみます。
この数量を基に裏込め・胴込め材の基本数量を計算します。基本数量ということは、基本ではない数量が存在します。
それは、歩掛の中に胴込め・裏込材・吸出防止材のロス率が定められています。
これを当てはめ胴込材、裏込材の数量を計算すると次のようになります。
これらの情報を代価表で表すと次のようになります。
…て、石材が見積り等により別途計上なんですね。しかも石材のくせに単位が「m2」です。「m3」でも「t」でも「個」でもないんですね。
この石材の単価が判らないんです。たぶん相場なんて無いんでしょう。誰にも判らない単価というやつです。発注者も過去の実績を基に決めているだけだと思います。
あと代価表の例としてあげた胴込、裏込材は適当に選択しただけですので、施工条件に合わせて材料を変更してください。
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